──感じるけれど、まだ名づけられていない気持ちへ
うまく言えないんだけど──
胸の奥に、いつからか溜まっていくものがあるの。
イライラとも違うし、悲しみとも少し違う。
だけど、ずっとそこにあって、呼吸をするたびに、
わたしの心をうっすらと曇らせていく。
「言葉にならない気持ち」が、
いつしか「感じないこと」にすり替わってしまう前に、
わたしはその“モヤモヤ”に、そっと名前を与えてあげたくなったの。
目次
曖昧なままの感情が脳に残り続ける理由──言語化の効果
感情は、言葉にされないと、記憶のなかで“宙ぶらりん”になる。
それは、脳の中で未処理のまま残る「フリーズした感覚」のようなもの。
心理学では、感情を言葉にすることを「ラベリング」と呼ぶ。
これには、脳の“扁桃体(へんとうたい)”の興奮をおさえる働きがあると言われているの。
- 「イライラしている」と名づけた瞬間に、怒りが少し静まる
- 「寂しかった」と言葉にしただけで、涙がふっと止まる
- 「モヤモヤする」だけでも、正体不明の苦しさが輪郭を持ち始める
「詩」「単語」「響き」だけでも癒しになる理由──言葉の音のちから
それでも、うまく言葉にできないときがある。
長い文にはならないけれど、
ひとつの言葉だけがぽつりと、心の底に残っているときがある。
- 「消えたい」ではなく「薄くなりたい」
- 「苦しい」ではなく「ざわざわする」
- 「やさしさ」ではなく「ぬるさ」
- 「好き」ではなく「触れたい」
そういう“単語だけ”でも、わたしにとっては立派な言葉だった。
文法なんて要らない。
詩じゃなくても、詩のように響く音があればいい。
言葉は、意味だけじゃなく、“音”で届くこともある。
書かれた瞬間、その音がわたしの内側を静かに揺らしてくれる。
- ノートに、ただひとつの単語を書くだけ
- スマホのメモに、意味のない言葉を並べてみる
- 響きのよい名前を感情につけてあげる

セン(Sen)
それだけで、不思議と気持ちが落ち着いていく。
「意味」よりも、「音」が先に心を癒してくれることがある──
わたしは、それを知ってから、
書けない夜にこそ、“ひとこと”を大切にするようになったの。
セン式・ノート構文術──名づけることは、自分とつながること
「この気持ちには、名前がない」──
そう思ったときこそ、ノートの出番だった。
わたしのノートには、きれいな文章はあまり並んでいない。
並んでいるのは、バラバラの単語、音、色、におい、そして感覚。
- 「くもり」
- 「チクチク」
- 「のどに石」
- 「お湯の底で眠っている」
- 「誰にも届かないピン留めされた叫び」
それは文章ではない。だけど、わたしにしかわからない言葉たち。

セン(Sen)
言葉のかけらを並べていくことで、
わたしは少しずつ、“わたし”とつながれる気がした。
そこに論理はいらない。
意味がなくてもいい。
わたしの心が「それだ」と感じられたら、それでいいの。
ノートは、問いと感情が静かに出会う場所。
言葉にすることで、モヤモヤだった感情が「形」を持ちはじめる。
そして──形があれば、その感情は、もう独りぼっちじゃなくなる。
「言葉を失った日」にこそ、書ける言葉がある
何も書けない夜がある。
すべてが言葉にならなくて、ただ息をしてるだけの夜。
でも、そんな夜にこそ、
ノートをひらいて、なにも書かなくても「ページと向き合う」だけで、
わたしの中のなにかが、すこし整っていく気がする。
言葉にならないものは、ただ“そこにある”だけでいい。
それでも、いつか──
ふとした瞬間に、ポトリと一語だけ、心に降りてくることがある。
- 沈黙の中で浮かんできた「透ける」
- 頭の片隅でこだました「ほどけたい」
- なぜか手が書きたがった「音がしない涙」
それは、まるで“心の奥にあった何か”と再会する合図。

セン(Sen)
「言葉を失った日」でも、
わたしの中には、まだ“言葉になろうとする気持ち”があった。
それを見逃さずにそっと書き留める──
それだけで、わたしの感情は少しずつ戻ってきた。
結び:名づけられた感情は、光のあたる場所に戻ってくる
感情に名前をつけることは、
わたしの内側に「居場所」をつくってあげること。
言葉が与えられたとたん、
それまで曖昧だった気持ちが、
不思議なくらい「そこに居ていいよ」と言われたように感じるの。
名前を持った感情は、
もうさまよわなくていい。
誰にも見つけられなかったとしても、
“わたし”だけがその名前を知っていれば、それで十分。

セン(Sen)
書くこと、名づけること、音を残すこと──
それはきっと、心に静かに灯りをともす行為なんだと思うの。
🌙 センのノートから、ひとこと:

セン(Sen)
言葉にならなかったものに、名前をあげよう。
それだけで、その気持ちは、
光のあたる場所に戻ってこられるから。